読者のお便りから

長年、万年筆を愛用している。五十音でヴィーナス万年筆を扱い出したという話を聞き、見学をしてきたが、これは一体どういう了見であろう?
まず、キャップはネジでもはめ込みでもない。数週間はドライアップしない実績がある、というが、私は数ヶ月放置することもある。そんな時、ペン先が乾いている可能性があるということか。やりきれない。
また、私はさまざまなインク色を愛でたいのである。
なのにカートリッジ推奨とは
なんと不埒なことであるか。
愛好家の心理をまったくわかっていない!
たとえコンバーターが装填できたとて
この特徴である首軸が同素材、ということが
邪魔をして存分にインクを吸いあげることができない。
ここには万年筆の醍醐味がないのだ。
問題はまだある。
ペン先はボック社の14金。
なるほど、国内万年筆メーカーにビジネスを
もちかけることもできない
弱小企画とあっては
入手方法はそのくらいしかなかろう。
また、乏しい資金力では
オリジナル作成など論外のはずだ。
受注販売ということは
ひとつひとつ作り上げているのだろう。
高級ブランドのように
ひとつのテーマやコンセプトによるロット生産ができないのであるから
なんともあわれなものである。
機能だけをみれば
廉価でも優秀な万年筆など
世の中には山のようにある。
そしてもっと高級・高価なブランド万年筆という選択肢もあるわけだから、
かようなファッション万年筆に手をだすのは
よほどの数奇者であり
よい趣味の持ち主に違いない。
そして、これほど馬鹿馬鹿しい万年筆に手を出すくらいなら
3分の1の値段で入手できる
同じ素材と同じ技術を駆使した
万年筆風補助軸を所有したほうが
賢明である。
粋人であるほど
もの珍しさでうっかり注文をしてしまう危険が高いので、
善良なる愛好家が
その毒牙にかからんことを祈るばかりである。
(長野県  A・O 57歳)
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